初心者のためのパソコンのおはなし
第1話
パソコンを買ったらいいんだろうか・・・の巻
 いつのまにかあちこちの店でコンピュータが使われ始め、経験とカンで経営してきた50 代の小売店の店長さんが、そろそろ買ったらいいんだろうか、との相談です。  一関青年会議所をめでたく卒業した少し色黒の好青年、「はなこん講師」(実在しません) は、あたかも一昔前の保健婦の健康相談のようにあちこち家を回り、今日もボランティア相 談活動です。
●店長  ところでパソコンって、どんな意味なんだろうか? ●はなこん講師  直訳すればパーソナル・コンピュータです。パーソナルとは個人のことで、個人的に使用 するコンピュータ、計算機という意味です。個人の手紙や、仕事に関係した文書、ゲーム、 家族の写真や内緒の写真・・・おっと、いずれそういうものを、保管したり加工したりする 装置だと思ってかまいません。また最近は、自宅の電話を使って、遠くの場所へデータを送 ることもできます。  似たような言葉に、オフコン、つまりオフィス・コンピュータ、つまり職場で、みんなが 共同で使う計算機というのがあります。 ●店長  そのパソコンって、なんでもできると聞いたんだが。ほんとうかね。 ●はなこん講師  そうですね、限界がありますが、最近買うようなものは、昔に比べてなんでもできるよう になりましたね。このノートなどは、昼寝の枕にもなりますし・・・あ、冗談だってば。  ソフトを入れ替えれば、ゲームやビジネス目的に変身することはご存じと思いますが、最 近はそういうことが、同時にできるようになっています。マルチタスク、たくさんの仕事と いう意味ですが、たくさんの仕事の書類が机の上に散らばっているように使うことができる ようになりました。  【写真1】  そしてハードウェア、機械本体のことですが、これもいろいろなものが安く出回って、パ ソコンがなんでも利用できる性能に一役買うようになりました。パソコンの後ろのコネクタ を見ると、テレビアンテナの端子や、ビデオ端子、電話端子がついていますね。つまりふつ うのテレビのように使ったり、電話やFAXの代わりにもなります。この他にも周辺機器と いって、とにかくなんでもありで、そういう装置の中心にパソコンがいつもあるので、パソ コンでなんでもできる、という話になったのですね。 ●店長  なんでもできるなどと言われると、何をしたらいいのか困ってしまうんだが。 ●はなこん講師  パソコンって、カメラやテレビのように、特定目的に使うものでないから、悩みますね。 ゲーム機になったり、ワープロになったり、表計算で事務帳簿になったりお絵かきソフトで 画用紙になったり、ソフト次第ということですが・・・  えーと、たとえ話をすれば、パソコンをまっ白な紙だとしましょう。そこに漫画を書けば、 コミック本になります。ちょうど何もないパソコンに、ゲームソフトをセットすることが、 真っ白い紙に漫画絵を印刷することに相当するでしょうか。パソコンは、こういう関係に似 ていますね。ソフト次第、つまり使う人の意志次第で、コミック本になったり、設計図にな ったり、公文書になったり小説やエロ本、商品券になったり、何でもありなのです。  でも、真っ白い紙を渡されて、何でも書けるからどうぞ、と言われても困るんですね。そ れが他の機械と違う、パソコンがもつ特殊な性質なのです。ここで何が必要かというと、画 用紙を目の前にしたときと状況は同じで、目的に対する発想力構想力(アート)と、ソフト の操作作業能力(スキル)なのです。 ●店長  なんか難しいようだが、いい写真本になるのなら欲しいなぁ・・いや、それはともかく、 わが家のように、店で使うとすると、どういう使い道があるのだろうか。やはりもうかるん だよね。貸し渋りに効果があったりして・・・ ●はなこん講師  店では、これこれの目的でどうしてもパソコンが欲しい、という状況でなければ、購入し ないほうがいいと思いますよ。勉強のためなら、仕事とはいったん切り放して、家庭で暇を みつけて練習したほうがいいですね。店にパソコンをドンと置いて、はい、今日からこれで 仕事、なんていかないのですから。  また、もうかるかどうかはハテナですね。むしろいままでとは違う業務やストレスが出て きますね。逆に金がかかり、パソコンを買うのに、さらに貸し渋りがあったりして・・・ ●店長  なんかパソコンを買わないほうがよさそうだけど、どうしてパソコン人気なのだろう。イ ンターネットのせいだろうか? ●はなこん講師  ようするに過大な期待をしないほうがいい、ということです。パソコン人気は、すぐもう かるものとか、金になる、という性質のものではないのです。何と言ったらいいか・・・新 しいタイプの教育が始まったような感じかな・・・パソコンは機械の使い方というより、い ままでの言葉と違う新しい「言葉」を習っていると考えたほうがいいかもしれません。  江戸時代に役所の立て札を読めなくても、別に仕事や生活に不自由しなかった人たちが多 数いたことでしょう。そんな言葉を読み書きできても、もうけにつながらなかったのも原因 があったでしょう。でも、時代がどう動き、未来を予想するには、言葉の読み書きは大切な ものです・・・そうですね、いまはまだ一部の人たちのおもちゃですが、インターネットも 確実に来る未来の世界のひとつでしょうね。 ●店長  ということは、仕事とは別にパソコンを買って楽しんでいたほうがいい、ということだろ うか。 ●はなこん講師  はい。特に子供さんがいるなら、なんでも使って下さいのパソコンを1台置いても変な時 代ではないですね。え?息子さんがいる?そうですか、ではお父さんは、なんとか息子を味 方につけて、手伝ってもらいましょう。でも、ゲーム機として使われるかもしれません。受 験で大変?まあまあ固いこといわず、少しならゲームもいいではないですか? ゲームなどは、名人芸的なプログラム技術が集約されていますので、ゲームの動きをみれば、 今のコンピュータでどのくらいのことができるのか、感覚的にわかると思います。  お父さんなら、そうですね、長く練習するならワープロと表計算かな。あとはゲームはい かがでしょう。囲碁や将棋、あとは絵合わせやパチンコのようなゲームもあります。え?儲 かるゲームじゃないといやですか?パソコン技術は、10年の歳月を賭けて儲かるかどうか 楽しめる最良のゲームとは思いますけれど。はい?「大人の絵本」ですか?後でこっそり教 えましょう。  肝心の奥さんの決済ですか。え?最近車の買い換えたのですか。飲み屋のツケもたまって います?うーむ、だと、ちょっと難しいですね。  では平和を保つには、パソコンシステムの予算を倍額で見たらどうでしょうか。つまり半 分は本当のパソコン購入用、もう半分はシステム拡張機能として奥さんのアクセサリー購入 費でどうでしょう。あ、内需振興政策です。そして、インターネットがつながるようになっ たら、まっさきに見せてやるのは、ティファニーとか阪急デパートなどでどうでしょうね。 奥さんにパソコンを占有されるって?いや、まだまだ婦人誌のほうが、商品情報の写真の品 質がいいので、パソコンはすぐ飽きると思いますね。  娘さんは東京の大学に行っておられるのですか?では、心配でしょうね。そうですか、最 近は化粧がきつくなって、電話をかけても話してくれないって?うーん・・・そうがっかり しないで下さい。明日はわが身です。それなら電子メールというもので、連絡したらどうで しょう。お父さんからの手紙、それも電子メールで来たら、「オヤジ、若いぜ」って、驚く と思いますよ。意外と電子メールの方が、電話より意志がよく伝わったりして・・・いや独 り言です。はい、大学生でしたら、ふつうは学内から、無料でメールのやりとりができるよ うになっています。  ・・・ほう、その次は?  ●店長  詳細なアドバイスをどうも。これは女房には内緒の作戦だね。ところで仕事には、具体的 にどう利用するのがいいんだろうね。 ●はなこん講師  店長のように、仕入れや売り上げ管理が忙しい人は、管理業務用として、表計算ソフトが いいと思いますね。そう、帳簿ソフトのことで、品名と単価、個数が登録でき、合計計算し たりします。簡単な事務作業ならすぐ使えますし、1〜2年ぐらいは、そのレベルの業務で 使い慣れておくといいでしょう。その後、パソコン処理に慣れてきたら、あたかも専用会計 ソフトのように操作できるマクロプログラム技術や、さらに本格的なVBAという言語を習 うのもいいでしょうね。若い店員にですか?そうですね、どの分野でも表計算を習わせて十 分と思います。若い人なら、加えてLANの構築技術ができれば、いうことなしですね。  でもいろいろな人の仕事上の使い方を見ていると、なんといっても文書を打つ作業、ワー プロのような使い方をしていることが多いですね。特に店長や部課長の人たちです。展示会 の案内を出したり、領収書を出したり、お客さんへの年賀状などの文書印刷などです。最初 はなかなか手が動かないかもしれません。ブラインドタッチなど気にすることありません。 1本指キー入力でも、おそらく手書きより早く文書が書けるはずです。たとえば「な」とか 「じゅうしょ」と打つだけで、自分の名前や店の住所をさっと表示する辞書登録機能を、習 慣的に使うからです。また、ワープロではたいてい「テンプレート」という定型文書のひな 型があり、それを使って作文する場面を多くなりました。漢字辞書も充実しており、店長の ような老眼・・・あ、失礼しました、大きな文字で探すのも楽ですし。 ●店長  そうはいっても、前のパソコンではやる気がなくなってしまったんだ。今度もたぶんゴミ になってしまうだろう。どうすればいいんだろうかね。 ●はなこん講師  パソコンがなんでもできる機械なので、なんでもできる能力を身につけてから使おうとい う錯覚にとらわれ、覚えるだけで疲れてしまうことがあったのですね。インターネットを使 うのなら、今度は発想を変えてみたらどうでしょうか。  ビジネス利用のためにまずワープロ操作をすすめますが、さて文書を書こうといっても、 おいそれと書けるものではありません。それで、インターネットを利用して知り合いの仲間 とのメール交換をしたらどうでしょうか。当面は、そういうお遊びをマスターすることで十 分でしょう。お遊びとはいえ、電子メールは、電話やFAXに匹敵する技術なので、これを 読み書きできることの重要性はおわかりと思います。そして「質問できる仲間」を作りまし ょう。  こうすると、表計算だろうがプログラムだろうが、槍でも鉄砲でも恐くなくなります。聞 くことのできる仲間が日本中に多数いるからです。メールをやりとりしている間に、その雰 囲気が自然に感ずることができることでしょう。 ●店長●  それでは、どんなソフトや機材あるのか、紹介をお願いしますよ。 ●はなこん講師●  ではインターネット接続に関連付けて、ざっと展示してみます。 <ノートパソコンとデスクトップパソコン>    【写真:パソコン機種】  自宅でみんなで共有するのなら、デスクトップパソコンがいいと思います。場所ふさぎに なりますが、落ちついて使うのにいいと思います。いろいろな周辺機材、モデムやスキャナ、 AVキャプチャやMIDI(音楽演奏機械)のようなものをつなぎっぱなしにできますし。  ノートは、自分専用のデータが増えてきて、手帳代わりに使いたい、という感じですね。 場所のない店の中なども威力を発揮すると思います。機動性、つまり実際に持ち運んで何か するというのは、相当慣れてからの話と思いますね。 <ATとマック>  AT機は、ウィンドウズ機などともいいますが、こちらのソフトや本が圧倒的ですね。マ ックはデザイン系や医療系で根強く人気があります。今日では、どちらのソフトもお互いに 利用可能ですから、あとは安さの勝負、ということでしょうか。ワープロと表計算だけでし たら、ウィンドウズ機、それも一世代前のもので十分、という状況です。 <応用ソフトの代表例>    【写真:ソフトの種類】  定番は、ワープロと表計算ですね。いくつかの系列があり、最も有名なのがマイクロソフ トのオフィスシリーズです。オフィス97というものを1つ買っておけば、パソコンの用途 の8割はまかなえる、と考えてよいと思います。これはウィンドウズ機用、マック機用いず れも販売されています。  インターネット関係は、最近はOS、ウインドウズ95やMAC8のことですが、これに すべて含まれていますので、あえて購入する必要はないと思います。メーラーというソフト はまだ購入しなければならないかな?シェアウェアという形式で安く販売しているものも多 く、知っている人に聞くといいでしょう。  画像関係は、まずスキャナの取り込み表示ソフトですね。あと簡単な画像加工ができるも のがあればよいですね。特に画像フォーマット変換といって、いろいろな形式のデータを変 換するものが、最低でもひとつほしいです。しかし最近はそういうソフトは、パソコン購入 時に付録で付いてきます。デザイン系のソフトですか?Photoshopなどが有名です が、ちょっと高価ですね。また操作を習得するのに時間がかると思って下さい。 <プロバイダ>    【写真:プロバイダの役目】  プロバイダは、インターネット接続をしてくれる電話局だと考えるといいですね。もとも と、インターネットでは、プロバイダで行う専門的な仕事ができる人だけがつないでいたの ですが、だんだんにそういう知識にない一般の人たちも利用するようになり、それで、こう いう特殊なサービス業が発生したのです。いまだに、大学や研究所など大きな組織では、プ ロバイダのような作業をする人を必ず置くように義務付けています。この人たちは、ユニッ クスという世界では、ルートとかスーパーユーザーと呼ばれます。交換機械を24時間動く ように監視するのが主な仕事です。  詳しく説明しませんが、こうしたスーパーユーザーは、いつでも個人の使用状態を見るこ とができます。どこにアクセスしたかもみなわかります。しかし通信事業者としての義務、 秘密を守ることになっています。手紙なども、ビジネス連絡はともかく、ほんとうに大事な 物は、インターネットはまだ危険だと考えたほうがいいですね。 <モデム>  MODEM、変調復調器という機械の名前の略称です。簡単に言えばデジタルの1、0の 記号を、ピー、ポーの2種類の音に変えているものと考えて下さい。この切り替えの早さが 転送速度と呼ばれ、56KBPSとは、1秒間にピーポーを5万6千回切り替えている勘定 になります。それだけ早く内容が伝わるわけで、時は金なりで、早ければそれだけ価格が高 くなる、ということですね。  いまモデムを買えば、56Kか、INS64の64Kかどちらかです。前者は従来の電話 を利用した使い方で、たいていはその方式で間に合うでしょう。マニアやインターネットを 業務として使う方は、INS64、別名ISDN64、デジタル回線ともいいますが、それ を導入するといいですね。電話代も普通の電話の2倍くらいです。 <電話代など料金の心配>  インターネットにはまりこむと、時間を忘れて電話代がかさむ心配がありますね。プロバ イダはそういうことで、できるだけ近いところ、市内回線でつなげるところがいいでしょう。 3分10円ですね。テレホーダイなどの夜間サービスもありますので、中高校生がいるご家 庭では、その契約を覚悟しなければなりませんね。この電話代は、普通の電話と同じにかか ります。  この他に、プロバイダに支払う料金があります。月額3000円くらいが相場でしょうか。 これは技術管理料ですね。また、プロバイダに24時間利用可能な自分専用のハードディス クがあり、この容量の大小によって課金も違ってきます。 <インターネットの設定の仕方と情報発信>    【写真:設定画面の例】  はっきりいいますと、初心者はこの設定は無理です。インターネットをするときは、まず プロバイダと契約し、その責任者と一度お話しするのがいいですね。そこで、どんなパソコ ンを買ったのか、ソフトはどうなっているか話をするのです。ひょっとしたらパソコン本体 をそのままプロバイダに持ち込んで話をするのがいいですね。  え?話コン会ですか?はい、ボランティアでそうした接続相談にも乗っているので、ある 面ではパソコンショップやプロバイダのお手伝いをしている立場かもしれませんね。  でも話コン会は、もっと違う目的があります。ショップは販売して終わり、プロバイダは 接続して終わりですが、話コン会では、当面、「顔のわかるメール交換」の相手をしたり、 その中でいろいろマナーの指導をしたり、画像加工などの講習や写真の編集のしかた、そし てクール(かっこいいの意)なホームページ作りを一緒に試みたりすす仲間です。結局は、 「買ってつないだ次のコンテンツ(内容)の作り方」の支援をしています。こうして、地域 内で、次々と「サービスのリレー」をしていかないと、ほんとうにインターネットって、続 くものではないのですね。まあ、遊びですから、気楽にどうぞ来てみてくださいね。
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(c) 話せばわかるわかるコンピュータの会,1998.5
Hanaseba Wakaru Computer no Kai, Ichinoseki,Japan,1998